わかれ

電車で乗り合わせた乗客。決して交わることが無い。私らはつまりそんなものだ。たまたま乗り合わせただけ。無理に分かり合おうとしなくていいんじゃないか。誰もが納得出来るわけがない。誰からも好かれるわけじゃない。ショートケーキや唐揚げが嫌いな人がいるのと一緒で。私らに必要なのは嫌われる勇気ではない。自分のエゴを貫くための全てを嫌う勇気だ。好きなものは好き、嫌いなものは嫌いと言い続ける習慣だ。そうすれば自ずと誰がその場に残るかわかる。そいつらと一緒にいればいい。それ以外の奴らに割く余裕などない。いつ別れるか、いつ死ぬかもわからない私たちに、誰かのために使う時間なんてない。それでも、誰かのために自分の時間を分け与えたいと思うなら、あなたはきっとその人といるべきだ。愛してあげるべきだ。忌まわしき感情なんてない。私らの感情に個性などない。愛に個性などない。理由に個性などない。本物は一つもない。パッチワークのような心しか持たない私たちが、一つ一つの模様がバラバラの私たちがわかり合うなど不可能である。誰かの絶望も希望も理解する必要ない。愛を信仰できないならそれでもいい。恋さえも踏みにじれる人間であれ。私らの人生は自分のためにある。限られた時間の中で、叫んで転んで起きてまた叫んで。そうして命を朽ち果てさせた先に、やっと自分の意味を知ることが出来る。

 

そう願っている。