宣戦布告

僕「インスタってさ」
私「うん」
僕「ウザくない?」
私「出た出た、自分はマイノリティー主張」
僕「わざわざ幸せアピールしなくていいじゃん」
私「別にアピールはしてなくない?」
僕「なんで?」
私「思っちゃうだけでしょ」
僕「絶対違う」
私「インスタやってるの?」
僕「……やってない」
私「じゃあいいじゃん」
僕「でもさ、好きなものって秘密にしたくない?」
私「意味ないじゃん」
僕「広く伝えるものでもないよ」
私「なんでウザイの?」
僕「だから」
私「好きなものある?」
僕「必要ないじゃん」
私「伝えなきゃ意味ないって話」
僕「……」
私「伝える気もない君に、インスタだのツイッターだのを批判する権利ないよ」
僕「あるよ」
私「言わなきゃ無いと一緒でしょ」
僕「それは……」
私「自分の不幸を見つめたくないからってそれはないんじゃないかな」
僕「幸せって見せるものじゃないよ」
私「幸せとは限らなくない?見せるのが上手なだけで」
僕「……」
私「それにさ、かわいいじゃん」
僕「インスタが?」
私「私は幸せです!って主張しなきゃいけないほど、みんな誰かに見てもらいたいってことでしょ?」
僕「まあ」
私「それくらいみんなひとりぼっちなんだよ」
僕「一人ぼっちって思ってないよ」
私「寂しいって言ってるみたいでかわいい」
僕「かわいいかな?」
私「君もね」
僕「うるさい」
私「まぁ、何事もわかんないもんだよ」
僕「……東京タワー」
私「好きなの?」
僕「一緒に行かない?」
私「スカイツリーは?」
僕「アイツは新人じゃん」
私「意味わかんない。でも、まぁいいかも」
僕「じゃあ来週の日曜で」
私「うん」
僕「……じゃあまた」
私「ねえ」
僕「…………なに?」
私「好きなの?」
僕「………………別に」
私「………………そう」

咲く時

「嫌いなの」

君は泣きながら言った。

僕は黙って聞いていた。

2人で公園のブランコに並んで座っていた。

「あの子も、何もかも」

君は鼻声だった。

僕は黙って聞いていた。

「ねえ、あなたも嫌いなんでしょう」

僕は黙って聞いていた。

「私のことも嫌いなんでしょう」

「嫌いだよ」

僕は前を見て言った。

「そう」

彼女の涙は止まったのだろうか。彼女と目を合わせる。

彼女は腫れた目で微笑みながら言った。

「私もよ」

散り際

「好き」

黒板消していた時だった。

「好き」

僕は手を止めずに聞く。

「好き」

作業を進める。

ほんの少し白い黒板を眺める。

僕はリュックを背負って帰る。

あとから君が着いてきた。

2人で並んで廊下を歩く。

窓からオレンジ色の光が差し込んでいる。

校舎から出て、正門を出た。


教室に入ったら佐藤が話しかけてきた。

「亡くなったって」

僕は自分の席に向かった。

隣の席をちらっと見ると花が置いてあった。

 

正門を出て、しばらく歩いて僕は立ち止まった。

「嫌いだ」

僕は言った。

君も立ち止まった。

僕が振り返ると、彼女は微笑んだ。

「両想いね」

君は言った。


いつか君が嫌いだと言った花だった。

彼女の一番の理解者だという女が置いた花だった。

「結衣、この花好きだったもんね」

「どうして」

「頼って欲しかった」

「そこまで追い詰められてたなんて」

「未だ信じられない」

クラスの女子が口々に言う。

「もったいねえ」

「あんな美人だったのに」

「告白すりゃよかった」

それを遠くから見ながら男子たちが言う。

僕はその様子を席に座りながら聞いた。

僕は勢いよく立ち上がった。

クラス内の目が集まる。

隣の席のその花を手に取る。

ブチッ

僕は花弁をひとひらちぎった。

「ちょっと!」

自称親友が声をあげる。

僕はもう一枚ちぎった。

もう一枚

もう一枚

もう一枚

中央だけ残ったそれをまた机に置き、僕は教室を出た。

向かうのは屋上だった。

 

屋上の扉を開けると、彼女が微笑んで待っていた。

僕は

たばねるもの

いくらキツく結んだところで、片方が遠くへいけば簡単に解けてしまう。緩くしたつもりなのにいつしか固く結ばれていたり、切れてしまったり。不格好なサマが滑稽で、関係そのものに名前をつけた先人を恨みたくなるほど、複雑に絡み合ったりする。綺麗に結ばれた関係なんかどこにもなくて、誰とも繋がってないと勘違いしたくなったり、誰かと繋がりたいと願ったり。身勝手な紐は私の感情を束ねてその先を誰かに向けている。

水の中からはじまり

内股で真っ直ぐ歩き、長く濃い藍色のスカートをふわふわと揺らしながら、白いブラウスの裾を垂らしながら、長いガラス張りの水中トンネルの中を歩く。ガラスの向こうでは、白黒の美しい模様を身につけた鯱が私を見つめる。

「楽しいか」

鯱は問いかけた。

私は足を止めて白を見つめた。

「歩いているの」

「そうか。私にはできない」

「あなたは泳げるわ」

また歩き出す。

「私を見つめろ」

「いいえ、もう見たもの」

「私の目は白くない。目を見つめろ」

「いやよ」

「見つめるんだ」

「しつこい雄は嫌われるわよ」

「怖いか」

私は鯱から離れられるように早く歩いた。ピンヒールがコンコンと床を鳴らす。鯱は少し追いかけたけれど、息継ぎのために水面上へと向かった。私はそのまま見上げることもなく歩き続ける。やがて真っ直ぐに延びていたトンネルが、上に角度をつけ階段を作り上げているところまで辿り着いた。階段を上ると、目の前には草原が広がっていた。けれどガラスは私を閉じ込めたまま一方に伸び続けているだけだった。

 

 

 

続く

なかよし

私たちは永遠にわかりあえることなんかないんじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時々、いやかなりの頻度で思う。

 

 

「明るい」という言葉に対しても、人によって想像する「明るさ」は違う。

 

 

太陽の明るさか

PCの画面の明るさか

ロウソクの火の明るさか

自室の電気の明るさか

 

 

 

 

柔らかいにも色々ある

 

 

羊の毛の柔らかさか

ゆで卵の柔らかさか

布団の柔らかさか

人の肌の柔らかさか

 

 

 

 

人によって何をどのように想像してるのかは全く異なるものだ。

 

 

 

 

「可愛い」も「かっこいい」も人によって違う。少しずれてる考えを披露するのか或いはその振る舞いか。スポーツができるか勉強ができるか。この点に関しては「顔」でも左右されるけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私ら人間は少しずつズレてる。

 

故に会話が成り立っているようで、実はてんでデタラメなことを話し合っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでも、どうして仲良くできるんだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私たちは永遠にわかりあえない。

互いを完全に理解しようとするどころか、気がつけば自身のエゴを押し付け合っているだけである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつだってひとりぼっちだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでも、ひとりぼっち同士が必死にわかりあおうとするさまは、ある意味美しいのかもしれない。

 

 

ちいさなひかり

自分の夢について、もう少し詳しく書こうと思う。

 

こういうのは「熱く夢に向かってるアピール」のようで、実は好きではない。

 

でも、知って欲しいっていう自己顕示欲も凄まじいのも私の性分なので

 

 

 

 

脚本家になりたい。

 

 

 

 

 

 

最初は役者だった。でも、お金も時間も作れない。

 

作ろうと思えば作れるなんて発言する人は環境に恵まれていると断言しておこう。私は決して裕福じゃない。

 

 

 

私はたった1曲で心を救われた経験がある。その時は、音楽で私と同じような人を救いたいと思った。

 

 

でも私には致命的にリズム感がなかった

 

これだけではないけど

 

 

楽器を何一つ演奏できない

 

歌も下手だ

 

 

 

私には音楽のセンスはこれっぽっちもない

 

 

 

 

でも、言葉を紡ぐことなら

 

 

 

 

 

 

それだけなら

 

 

 

 

 

 

 

私にもできる

 

 

 

 

 

 

 

 

故に、脚本家

 

 

 

 

 

 

 

 

ドラマは、個性的なキャラクターがたくさんいる世界で繰り広げられる。

 

 

画面外の私たちからすれば「かいじゅう」のような

 

少し異質で、でもやっぱり人間味があって

 

 

私たちによく似ている

 

 

 

 

 

だからこそ、励まされたりする

 

 

 

 

 

 

 

 

私はそのかいじゅうたちを生み出して、私が曲に救われたように、私が携わったドラマで誰かを救いたい。

 

 

 

 

 

 

 

かいじゅうが人間を救うってとても素晴らしいと思う

 

 

 

 

 

 

 

 

私が書いた何かが、誰かの小さな光になりますように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを願っていたい